2・3年次には、教育委員会が学習支援を行う「医学特講ゼミ」で、大手予備校講師の講義を受講する。

 現在、新型コロナの感染拡大が止まらず、医師たちは感染のリスクにさらされながら、懸命な闘いを強いられている。この状況は今後の医学部の志望動向に影響するのだろうか。

 駿台の石原部長は、医師になる志が高い生徒が医学部を志望して、良医が増えるだろうと予測する。

「成績が良いから医学部、医師は収入が高いから医学部、と考える生徒は敬遠し、医師としての使命感を持った生徒が医学部に進むと思います。来春は医学部合格のハードルが低くなるでしょうから、医学部志望者は、果敢にチャレンジしてほしいですね。東大や京大といった研究志向の強い医学部への進学者のなかには、『感染症を研究したい』と考える人も出てくると思います」(石原部長)

 北嶺の谷地田校長は、「現在の状況で怖気づく生徒もいるかもしれないが、本校ではむしろ医学部志望の生徒は増えると思います」と語る。

 医療経験を通じて、医師のやりがいや苦労を知ったうえで医学部を目指す生徒が多いからだ。

「外科の手術、救命救急、へき地医療、がん治療などさまざまな医療現場を見ている生徒たちは、『コロナをやっつけたい』『自分がなんとかしてやる』と考える前向きな生徒が多いです。医学部は職業に直結した学部なので、これからもメディカルスクールの医療体験を増やしていきたいです」(谷地田校長)

 02年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、12年のMERS(中東呼吸器症候群)と、ほぼ10年間隔で感染症が発生している。

 医療体験などで医療現場を目の当たりにした志の高い生徒が医学部を志望し、将来、新たに出現する感染症と闘う医師が出てくることに強く期待したい。(庄村敦子)

週刊朝日  2020年4月24日号