「地域の病院が実施する医療体験への参加も促しています。本校独自の取り組みとしては、医学部志望者と保護者向けに、札幌医科大と旭川医科大の教授が講演を行う『医学部医学科研究会』を開催。旭川医科大の研究会では、講演後にグループワークも実施。『医学部セミナー』や年に3~4回の面談で、丁寧なアドバイスをしています」(進路部長の高桑知哉教諭)

 山間部が多く、慢性的な医師不足に悩む新潟県では、07年に新潟(新潟)の理数科にメディカルコースを設置した。全国13位、公立2位の同校では、2年次に約50人がメディカルコース、約30人がサイエンスコースを選択する。

「メディカルコースができてからは、医学部入学に向けての意志を固め、目標達成に向けて努力する生徒が増えました。医学講演会、新潟大学医学部訪問や病院見学、医学系の課題研究などを行い、医師の使命感と倫理観を養います」(進路指導主事の稲又晋矢教諭)

 課題研究は4~6人のグループでテーマを決めて共同研究し、発表後に論文にまとめる。19年度の研究テーマは手術用ロボット、ダイエットの効果、再生医療などだった。

 メディカルコースで「医師になりたい」思いを強くした生徒は、勉強にも力が入るという。たとえ現役合格がかなわなくても、志望変更せずに頑張る生徒がほとんどだ。

「浪人した生徒には、年4回激励文を送り、卒業後も応援し続けます」(同)

 全国14位、公立3位の仙台第二(宮城)は、10年度から医師を目指す生徒のために、「医進会」という3年間のプログラムを始めた。

「医進会」に入った生徒は、1年の7月から、興味のある医学分野について資料を収集し、ノートにまとめて提出する。

「現在、新型コロナウイルスの感染が拡大していますので、調べ学習の課題として、『医療崩壊』も考えています」(進路指導部長の菊地敏広教諭)

■コロナの惨禍を良医生む好機に

 体験学習としては都市部の総合病院見学や地域医療体験、医学部体験会、卒業生の医学生による講話、医師会講演会などを行う。

「これらの体験で医師のやりがいや苦労を知り、医師になる覚悟を決めてモチベーションが上がる生徒もいれば、医師に向かないと感じて他の進路を考える生徒もいます。学習支援としては1・2年次に合同学習合宿、3年次に入試に関する講話、小論文・面接指導などを行っています」(同)

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