また、医学部志望者向けに独自の講座や、座学以外の個性豊かなプログラムを用意している学校もある。まずは私立校から見ていこう。

 合格者数が13年連続日本一で、医学部志望者が多く集まる東海には、生徒が年に2回開催する市民公開講座「サタデープログラム」があり、毎回、医学関係の講座も開講。2019年度は、「なぜ、ドクターヘリなのか~ドクターヘリが変えた救命救急医療~」などの講座を開講した。

「生徒が講座を企画し、講師への依頼も生徒自らが行っています。この講座だけでなく、文化祭などの行事やクラブ活動などにも、自主的に取り組んでいます」(紺野一弘学習指導部長)

 2位の灘は国公立大医学部医学科、東大、京大の合格者数(浪人を含む)を卒業生数で割った占有率が76.8%と断トツ。また、国公立大医学科の現役合格者数43人を卒業生数で割った現役占有率も19.5%と高い。

 同校では、中2から高2を対象とした土曜講座を年6回開催している。

「本校の教員や卒業生らが講師を務めます。生徒が将来の進路を探ったり、自分の世界を広げたりできるように多彩な講座を用意しています。昨年度は『神経科学の最先端』『医師5年目の私の働き方と生き方』などの医学関連の講座がありました」(和田孫博校長)

 4位の四天王寺は中高一貫の女子校。14年に、医師を目指す生徒のための「医志コース」を中学に設置した。昨年の国公立大医学科合格者数は50人だったが、同コース1期生が受験に臨んだ今年は67人と、大幅に増えた。また、慶應義塾大などの私立大医学部にも延べ124人(防衛医科大7人を含む)が合格した。

 医志コースの定員は35人。今春の在籍者24人中10人が京大など国公立大医学科に合格したほか、東大の理一や京大の理工系学部にも合格者を出した。

「学習の進度が速い医志コースの生徒が全体を引っ張り、英数IIコースの生徒も京大や阪大などの医学部に現役で19人が合格しました」(医志コース長の大向雅士教諭)

 医志コースでは、中3のときに「京大医学部訪問」「四天王寺病院見学」を実施。高校でも阪大、大阪市立大、近畿大の医学部訪問などを行う。医学部訪問では、教授の講演、卒業生の話を聞くほか、医療体験に参加する。

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