市川海老蔵(右)と長男の勸玄くん(C)朝日新聞社
市川海老蔵(右)と長男の勸玄くん(C)朝日新聞社

 5~7月に東京・歌舞伎座で公演予定だった、歌舞伎俳優市川海老蔵の「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の延期が発表された。

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 大名跡「團十郎」とともに、長男の勸玄くんも八代目市川新之助を襲名し、長女のぼたんちゃんも舞台に立つ予定だった。海老蔵はブログに「お客様と役者やスタッフ、歌舞伎に関わるすべての方、そして、その先にいらっしゃるすべての方々の健康と安全を考え、止むなく延期とさせていただきます」とつづった。

「とくに襲名興行は、すべての人に祝福していただきたい性質のもの。世間の声に最大限の配慮をした結果でしょう」と芸能評論家の三杉武さんは言う。「伝統芸能でもある歌舞伎の襲名興行は特別な存在でもあり、なかなか配信でというわけにもいかないでしょうし、やむを得ない判断だと思います」

 延期の期間について、芸能リポーターの石川敏男さんはこうみる。

「歌舞伎界の大物俳優の興行スケジュールはだいたいきちんと決められていますから、事態が収束したからといって、すぐに襲名興行を入れるというのは基本的に無理です。本来、東京五輪を見越して日本の伝統文化を発信したいという思いもあったでしょうし、襲名も1年延ばすのが妥当なところではないでしょうか」

 5月にはもう一つの大イベントが予定されている。国民的アイドルグループ・嵐の新国立競技場でのコンサート「アラフェス」が、15・16日に控える。緊急事態宣言の期間は5月6日までだが、開催されるのか。

「これも五輪を見すえた、新国立競技場のお披露目の意味合いも込めた公演だったので、現実的には難しいでしょう」と前出の三杉さん。「かりに緊急事態宣言が解除されても、わずか10日程度で5万人以上が集まる公演を行うのは、今の段階ではかえってイメージが悪くなる気がします」

 開催延期でも、嵐には年内いっぱいでの活動休止という「大きな壁」が待ち受けている。石川さんはこんな予測もしてくれた。

「事態の大きさは嵐のメンバーももちろんよくわかっているはず。年内で活動を休止しても、公演が年明けに可能となったら、新国立競技場のため、五輪のため、国民に元気を与えるために、特別に再集結することは十分あるのではないでしょうか」

 安心して大規模な公演を楽しめる日が待ち遠しい。(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2020年4月24日号