個性的な人材が集まる京大だが、門戸をくぐれるのは厳しい競争を勝ち抜いた者だけ。2次試験までの追い込み期間の合格者たちの生活を分析してみよう。平均何時間程度、机に向かったのか。最も多かった回答は「9~12時間未満」で、全体の約半数(49%)。次いで多かったのが「6~9時間未満」で、約3割(29%)。「12時間以上」は1割強(14%)にとどまった。

 睡眠時間は、「6~7時間未満」が約4割(44%)、「7~8時間未満」が約3割(31%)。両者の回答を合わせると、4人に3人(75%)が、6~8時間の睡眠時間を確保していることになる。限られた時間で集中して勉強に取り組み、睡眠時間は確保する。自己管理が合格の秘訣かもしれない。

■コロナの影響で友達作り難化

 「最も関心のある世の中の問題」では、半数以上(321人)が「新型コロナウイルス」と回答。感染拡大を受けて京大の入学式も取りやめになった。「3月の予定が全て潰れ、大きな喪失感を持ったまま過ごしている」(教育・鴎友学園女子)、「コロナウイルスは京大の入学式を消し去った」(文・明和)、「入学式もなくなり新歓や友達作りまで難化した」(法・西大和学園)など落胆の声が多かった。一方、「将来、食料問題とともに感染症にも対抗できる世界の環境作りに貢献できたらいいなと思ってニュースを見ている」(農・姫路西)と、進路と結び付けた回答もあった。

 次いで多かったのが環境問題(17人)。地球温暖化・食料危機とスケールの大きな話に感じられるが、「人類の発展と存続にとても大きな影響があり、自らの生活にも大きくつながる問題で危機感を強く感じる」(工・豊田西)と、日々の生活の延長線上に問題を捉える声が多かった。17歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの活動が若い世代に響いたのだろう。

 そのほか、次のような反骨精神が表れた内容も目を引いた。「桜を見る会。コロナの問題によって、桜を見る会に関する話がうやむやにされているから」(工・明和)、「次代総理大臣。歴代最長となった政権の次がどのようになり、どのような評価を受けるのか興味がある」(理・九段中教)、「国内政治。不誠実で信用できず、将来に不安を覚えるから」(文・鶴丸)。時の政権へは厳しい目を向けているようだ。

 「一番会いたい有名人」は、「山中伸弥」や、ダウンタウン「松本人志」、「安倍晋三」を抜き、映画「君の膵臓をたべたい」主演の「浜辺美波」(15人)がトップ。クイズ王として知られるロザン「宇治原史規」(8人)、作家の「森見登美彦」(12人)など京大出身者も人気だった。

(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2020年4月17日号