逆に、安田さんが「英語を通したグローバル教育に力を入れている」と評する40位の海城(東京)は、東大が昨年より13人増え、5年ぶりに50人を超えた。

 昨年のトップ5は、中高一貫の男子校で占められていたが、今年は公立校の北野(大阪)がそこに割って入った。合格率61・1%で4位。特に、京大合格者数は前年比28人増で3ケタに到達し、3年連続でナンバーワンに輝いた。阪大53人、神戸大36人など、関西で存在感を示している。

「背景にあるのは大阪府立高校の復権です。2011年からの教育改革の成果といえるでしょう」

 と安田さんは説明する。そのもう一つの好例が、9位にランクインした天王寺(大阪)だ。京大は、北野に次ぐ合格者数で、前年比29人増の76人。

「この2校が京大合格者数でワン、ツーに輝くのは約40年ぶり。府の教育改革で文理学科を設置し、優秀な子は、北なら北野へ、南なら天王寺へ集中するようになりました」(安田さん)

 もう一校、注目すべきは7位の札幌南(北海道)。計169人の合格者のうち、地元北大は約半分の90人。東大と京大に計31人合格したほか、東北大15人、阪大10人、最も離れた九大にも7人など、旧帝大への合格で実績を残した。

 結果として、公立校が3校トップ10入りした。

■公立伝統校から地元の旧帝大に

 今年は混戦状態だったのが、学区が二つに分かれる愛知県だ。27位の一宮は、東大、京大の合格者数では西のトップ校とされる旭丘、明和、東の岡崎の3校に劣るが、名大の合格者数が急増している。昨年までの3年間は70人前後だったが、今年は前年比27人増の95人が合格。特に現役の人数が多く、うち69人となっている。

「今年は現役の受験者が少なめでしたが、合格者は多かった。名古屋大の倍率が低かったこともあると思いますが、日ごろから可能性を狭めず、第1志望を貫くよう指導しています」(進路指導担当者)

 合格率を伸ばした高校で注目すべきは、22位の奈良(奈良)だ。京大に前年比22人増の53人、神戸大も20人増の53人となり、合格率は、昨年の34・7%から10ポイントもアップした。進路担当教諭はこう説明する。

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地方公務員や地元の就職に有利な旧帝大