なぜ、喫煙が新型コロナ感染症を悪化させるのか。前出の田淵副部長が挙げるのは、たばこによる肺の機能低下と、ウイルスに感染しやすくなるという2点だ。

「長い間、たばこを吸っていると肺の組織が破壊されてしまう。呼吸機能が落ちた状態でウイルスに感染すると、肺のダメージが一気に進みやすいのです」

 一方、ウイルスに感染しやすいしくみはこうだ。

「ウイルスは細菌と違い自分では増えられないので、私たちの細胞内に入り込んで増殖します。たばこを吸っている人では、ウイルスが細胞内に入り込む受容体(入り口)の数が多いようなのです。またたばこに含まれるニコチンは免疫機能を低下させます」

 このことは、インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)などのウイルスを用いた研究でも明らかになっている。ただし、ニコチンの害は禁煙すれば数日で改善するという。

 4月1日施行の「改正健康増進法」では、屋内施設での喫煙が原則、禁止となった。だが、大きな飲食店やホテルでは、屋内でも専用の喫煙所で吸える。

「今後危惧されるのは、こうした喫煙所。感染しやすい人たちが“三密”に集まり、クラスターが起こる可能性がある」(田淵副部長)

 これを機に禁煙してみてはどうだろうか。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年4月17日号