感染者が出た大阪拘置所(撮影/取材班)
感染者が出た大阪拘置所(撮影/取材班)

 新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が発令された大阪――。
 
 普段は面会者で行列が絶えない大阪拘置所前もひっそりしていた。それもそのはず、<面会人向け告知>という掲示が出ていたのだ。

<今般新型コロナウイルスのPCR検査において「陽性」反応が出た職員が発生し、所内ではマスク着用、手指の消毒等、所内にウイルスを持ち込まないための対応を実施しているところですが4月7日(火)改正インフルエンザ等特別措置法に基づく「非常事態宣言」が発令され、大阪府がその対象地域に指定されました。つきましては、更なる感染防止のため、4月8日(水)から当面弁護士以外の方との面会は実施しないこととなりました。皆様には当分の間、当所への来訪をお控えいただくなどご理解・ご協力のほどお願いいたします>

 4月8日から弁護士以外は収容者と面会中止になったことを知らせる内容だった。大阪拘置所では同5日に40歳代の男性刑務官が新型コロナウイルスに感染し、7日には40歳代と60歳代の男性刑務官2人の感染も確認された。大阪拘置所の刑務官はこう不安気に語る。

「いつかはこういうこともあると思っていたが、ビックリした。5日に感染者が出たことで、拘置所は大騒ぎになりました。何人もの刑務官がPCR検査を受けていますので、感染者が増えるかもしれない」

 男性刑務官と接触があった刑務官119人は、すぐに自宅待機となった。
そして、同様に刑務官と接触した収容者40人を雑居房から個室に移動したという。現在、新しい施設に建て替え中の大阪拘置所は、以前より個室の独居房の数は増えているという。

「それでも収容者40人を一度に移動させるのは、大変です。収容者同士、顔を合わせないようにすることが大切ですが、六代目山口組と神戸山口組の抗争もあるので、緊張しました。殴りかかったり、暴れたりと、不測の事態も予想されますからね」(前出・刑務官)

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三密を解消できず、感染拡大も