法政大学教授「国会パブリックビューイング」代表・上西充子氏(撮影/亀井洋志)
法政大学教授「国会パブリックビューイング」代表・上西充子氏(撮影/亀井洋志)

 東京都の新型コロナウイルスの感染者が1日で100人を超え、感染爆発の危機が迫っている。法政大学教授で「国会パブリックビューイング」代表の上西充子氏が安倍政権に物申す。

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 私が「ご飯論法(*注)」という言葉を広めたのは、二つの目的がありました。一つは、安倍首相はじめ閣僚の答弁が意図的に論点をずらしていることを、野党議員や国民に気づいてほしかったからです。聞いていることには正面から答えずに、はぐらかす。彼らがそうするのはやましいことがあり、不都合な事実を隠しているからです。

 二つ目は、そう命名することで「もうその手は通用しない」ことを彼らに知らしめるためだったのですが、いまや開き直っていますね。野党の質問時間を奪うだらだらとした説明も相変わらずですし、目に余ります。ご飯論法は今国会でも、「桜を見る会」や検察官の定年延長問題で随所に聞かれる。

 安倍首相は「ウソつき」「印象操作」などと言い、野党議員を愚弄(ぐろう)するような答弁も目立ちます。衆院予算委員会で、辻元清美議員が「鯛(たい)は頭から腐る」と指摘したときに、安倍首相は「罵詈(ばり)雑言だ」という言い方をしました。「桜を見る会」について質問した小川淳也議員に対し、「レッテル貼りをするのは相手を攻撃する一つの手法なんでしょうけれど」と人をバカにしたような態度を取っています。

 ところが、ニュースなどではその部分だけが切り取られて報じられることが多いので、本当に辻元議員が罵詈雑言を言い、小川議員がレッテル貼りをしたかのように見えてしまいます。

 とはいえ、テレビやインターネットなどで国会中継をずっと見ているのも大変です。だから、私は夜の10時、11時くらいにその日の国会審議の見どころを「大相撲ダイジェスト」のようにやったらどうかと言っているんです。

 きちんと国会審議を見れば、不誠実な答弁をくり返す政府の姿勢が誰の目にも明らかになります。

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