「1日330食ほどを用意しましたが、場所によっては100人以上が待っている場所もあり、ニーズの大きさを感じました」と話すのは事務局長の原田一也さん。

 このキッチンカーは高齢者や障害者の雇用の一環として昨年10月に購入。オフィス街のランチ需要や休日のイベント出店などに活躍していたが、最近は新型コロナの影響で稼働していなかったという。

「1日あたり米を30キロほど炊き、玉ねぎやニンジンなどもキロ単位で使っています。食材の大半が地元のJAあいち尾東さんからのご寄付で、他にも大勢の方が持ち寄ってくださっているから可能なんです。当初予算は35万円でしたが、これだけじゃ、とてもとても」(原田事務局長)

 大阪を中心に、奈良、兵庫で26店舗のラーメン店を運営する「河童(かっぱ)ラーメン本舗」(本社・大阪府箕面市)は、3月9日から27日まで全店舗で平日午後3時から午後6時まで中学生以下の子どもを対象に、「河童ラーメンと白ごはんそれぞれ一杯ずつ」を無償提供した。

「弊社代表が給食が無くなると困る子どもらがいるというのをニュースで知り、『できる範囲で応援しよう』と始めた企画でした。26日までの集計で合計約1万食。一日の最高記録は1店舗で約200食を提供した日がありました」(池田寛誠課長兼広報担当)

 反響の大きさは予想以上だった。

「うつむき加減だった子どもさんが、元気な声で『ごちそうさま』と言って帰られるのを目の当たりにして、『やって良かった』と実感したものです」(同)

 本来3月末までの予定だったが、27日に吉村洋文大阪府知事の外出自粛要請が発表されたため、急きょ、当日で中止。同社では、今後も社会的情勢を踏まえて何らかの支援を考えていきたいという。

 全国のこども食堂約220団体が参加している「こども食堂ネットワーク」の釜池雄高事務局長によると、「活動を休止した団体が多い中、2、3割は食堂運営以外の方法で事業を継続中」だという。

「新型コロナの拡大によって雇用不安が高まり、困難な状況に陥るシングル家庭が増えると思われます。それだけに、これからますますニーズは高まるでしょうね」(釜池さん)。

 子どもらが食事に困らないよう、善意の輪が広がっている。
(高鍬真之)

※週刊朝日オンライン限定記事