昨年11月のプレミア12で活躍した山崎康晃(C)朝日新聞社
昨年11月のプレミア12で活躍した山崎康晃(C)朝日新聞社
キャッチボールする藤川球児(C)朝日新聞社
キャッチボールする藤川球児(C)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪は1年延期され、来年7月23日に開幕と決まった。

【写真】キャッチボールする藤川球児

 各競技で選手選考への影響が取り沙汰される中、野球の侍ジャパンも大きな懸案事項が生じた。絶対的守護神のDeNA・山崎康晃だ。昨年11月の国・地域別対抗戦「プレミア12」では、5試合で計5回無失点、3セーブと完璧な働きで世界一に貢献した。

 今夏に開催予定だった東京五輪はDeNAの本拠・横浜スタジアムで決勝が行われる予定だった。慣れ親しんだマウンドで大きな歓声を背に受け、金メダルと胴上げ投手になることを目標に掲げていた。

 ただ、山崎にはもう一つの夢がある。大リーグ挑戦だ。昨オフの契約更改で、球団に将来挑戦したい意向を伝えた。昨季は61試合に登板し、3勝2敗30セーブ、防御率1.95。史上最年少で通算150セーブを達成し、2年連続でセーブ王に輝いた。特に、落差の大きいスプリットは大リーグでも大きな武器になる。実際に評価は高く、昨年に投球を視察したあるスカウトはこう称賛していた。

「(現在は大リーグ・レイズの)筒香(嘉智)より山崎のほうが欲しい。三振の取れる球種を持っているのは大きな魅力。ピンチも動じないメンタルの強さもいい。メジャーにいくとなれば争奪戦になるだろう」

 27歳。選手寿命を考えると、1年でも早く挑戦したいのが本音だろう。ただ、地元開催の東京五輪で守護神を担うのも野球人生で大きなモチベーションだった。大リーグか、東京五輪か。苦渋の決断になる。

 山崎が今オフに大リーグに挑戦した場合、侍ジャパンの稲葉篤紀監督は守護神の再考を迫られる。候補になるのはオリックス・山本由伸、ソフトバンク森唯斗西武・増田達至あたりか。昨季のパ・リーグセーブ王の楽天・松井裕樹は今季から先発に転向したが、練習試合で打ち込まれるなど精彩を欠いている。現状のままでは厳しいだろう。

 今年40歳となる阪神・藤川球児も可能性はある。大リーグでプレーし、2008年北京五輪など豊富な国際経験が心強い。17年以降、3年連続で50試合以上に登板し、防御率2.50以下と安定した成績を残している。東京五輪でクローザーを務めるのはだれか。チームの命運を握る重要なポジションであるだけに注目される。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事