時間に余裕があるときは、こうした「習慣としての片づけ」を行ったあと、さらに「記憶の活性化としての片づけ」もやってみる。

「20年くらい前の旅行の思い出品などを紙袋にぐちゃぐちゃに詰め込んでいたり、昔自分が勉強した資料を部屋の片隅に山積みにしていたり……などといったことも、皆さん結構あると思うのです。こうした若かりし日の思い出品などを整理していくと、それを買ったときの場面やそれを使っていたときの場面が頭の中に出てきて、記憶を呼び戻すことにつながるでしょう」

 シニア世代には、できれば1週間に1回くらいは古いものを掘り起こして、記憶をさかのぼる時間を持ってほしいと加藤医師は言う。そしてそういった“手つかずだったところ”を片づけるときのポイントは、

「単純にモノを少なくするとか、モノを捨てることに夢中にならないことです。それよりも、これは今後自分がやりたいことに必要なのか不要なのか『分類』する意識を持つこと。そして自分の気持ちや自分の今後の生き方を明確にしていくことが肝心なのです」

 そう考えれば“未来に向かう片づけ”が行える。そして、いま捨てるべきものも見えてくる。

「シニアの片づけの醍醐味は、そこにあるのですから」

■1週間の片づけメニュー例
(月)週の初めなので、まずは1週間の片づけのプランニングをして、脳を活性化。あまり複雑な片づけはやらず、目につくものを整理するくらいでよい。

(火)火曜日は「火」を使うコンロなど、台所回りの片づけを。コンロは、使うたびに汚れを拭き取ることを習慣に。そして台所の棚や引き出しなどに不要なものはないか、確認する。

(水)水曜日は「水回り」の片づけを。トイレやお風呂場、洗面所などをチェックする日。毎朝洗面所をきれいにしている人ならば、納戸の収納の整理を毎週水曜にやってもよい。

(木)木曜日は「木製」のタンスやチェスト、書棚、椅子などの家具類を濡れ雑巾、乾拭き雑巾で拭いてみる。収納している本や服の状態を確認し、整理することも大事。

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