イケアの法人向け店舗では、民泊向けのモデルルームも用意されている (c)朝日新聞社
イケアの法人向け店舗では、民泊向けのモデルルームも用意されている (c)朝日新聞社

 東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まった翌日の3月25日、東京株式市場は、五輪がいつ開催されるかの不透明感が払拭(ふっしょく)されたことを歓迎し、急騰した。株式アナリストの鈴木一之さんはこう話す。

「延期はダメージですが、中止ではありません。関係業界は大喜びでしょう。3月半ばまで集中的に売られていたホテル業界や旅行会社などの株は思いっ切り買われています」

 宿泊業界は今夏の予約キャンセルの穴埋めに動きだし、影響を小さくするだろうと鈴木さんはみている。

 ただ、住宅を宿泊施設として活用する「民泊」に参入していた業者は苦しい。都内で民泊管理代行をする業者はこう話す。

「事業が難しくなったとオーナーから相談が結構あります。五輪やコロナウイルスの問題もあり、赤字で資金回収の見込みがなく、撤退した方もいます」

 飲食業界も今夏の大会需要がなくなり、厳しそうだ。

 1年延期の経済損失は6408億円と、関西大学の宮本勝浩名誉教授は推計する。内訳は、大会延期の諸費用4225億円と経済効果損失2183億円。新型コロナウイルスによる観光客や消費の減少などを含まず、マイナス影響はさらに拡大するという。

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