医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師も言う。

「日本の場合、恐らくすでに蔓延(まんえん)している状況ですから、封鎖してもあまり意味はないんです。人類がやってきた感染症対策は、じっくり時間をかけて免疫力をつけるというやり方。英国とドイツもこの方法でやろうと言っていたんですが、世界中から反発を受け、『やっぱりロックダウンする』となってしまったんです」
 
 医師の中島克仁衆院議員(無所属)はこう指摘する。

「満員電車は走っていたし、東京が対策として何をやってきたかが、あまり見えないんですよ。ロックダウンの可能性がありうると言いだしたのは、東京五輪の延期が(事実上)決まったころですから。最初に五輪開催ありきなのかなと映ってしまいます」

 この騒動の中、都知事選について自民党本部の二階俊博幹事長は「小池氏支援」を表明した。これに若手の自民党都議らが猛反発。都議会自民党の小宮安里政調会長は会見で、「小池さんを都知事としてふさわしいとは思っていません」と言った。ただ、対抗馬が見つからない。

「今、小池さんは自分が主役になっているのがうれしいんじゃないですかね。ロックダウンとか横文字で言って、ちょっと世の中をあおりすぎていると思います」(前出の自民党都議)

 小池劇場の再来だ。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2020年4月10日号

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら