「堀江さんが一石を投じて内心感謝している人は多いはずです。芸能人であってもテレビ出演だけで食べられるのはごく一部。イベントや地方営業で稼いでいる人が多く、今回の自粛は打撃が大きい。タレントのJOYさんは、番組で来月の家賃が厳しいと窮状をこぼすほどです」

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、現時点での自粛に疑問を呈する。

「厚生労働省は、クラスター感染が出ていても蔓延(まんえん)は認めていません。蔓延していたらイベントを自粛するべきですが、現状でそれに至る判断の根拠がありません。蔓延していないところで自粛するのは、経済的なデメリットしかありません」

 演劇や音楽の制作者たちでつくるコンサートプロモーターズ協会などは、中止・延期になった公演の損害を約450億円と推計。17日、支援を求めて国会議員宛てに要望書を出した。

 安倍晋三首相は20日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、大規模イベントについて「引き続き、感染拡大の防止に十分留意してください」と述べ、主催者側に慎重な対応を要請した。

 今、具体的な指針を示すことが求められている。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年4月3日号