別の角度から大学の人気を比較してみよう。受験生からの評価を示す数字だ。

 関東エリアの高校生における早慶の知名度は、早稲田が95.3%だったのに対し、慶應が84.7%だった。10ポイント以上の差がついていた。志願度を見てみると、早稲田が9.7%に対し、慶應が4.9%だった。

 調査を行ったリクルート進学総研の小林浩所長は、学部の数や定員に着目する。早稲田は13学部あるのに対し、慶應は10学部。学部生の数も、早稲田4万人に対し、慶應2万9千人だ。

「高校生が進学先を選ぶポイントは、行きたい学部・学科があるか。早稲田は学部の種類が多く、志願度を高めているのでしょう」

 数に対して、学習環境など「質」をみる尺度を比較みよう。

 教員一人当たりの学生数(学生数/専任教員数)は、慶應が14.5人に対して、早稲田が25.5人。慶應が圧倒的に少ない数字になっている。つまり、面倒見の良さは慶應に分がありそうだ。

 実際、慶應では早い時期から少人数セミナーなどの授業を増やすことに取り組んできた。教養研究センターを2002年に設置し、教養科目の少人数授業の充実に取り組んでいる。3・4年次でも多数の少人数授業を用意しており、例えば経済学部では卒業論文を執筆する「ゼミ」のほか、英語による実践的な経済学の授業、経済に限らず自由に論文のテーマを決められる授業がある。

「少人数なので必然的に教員の面倒見も良くなり、学生同士も仲良くなりやすい。慶應としての結束力を高めていると思います」(大学職員)

 次に、今、関心が最も高い「国際化」について。外国人留学生の数を比較すると7942人で早稲田のほうが慶應の2103人を圧倒している。大学の規模の違いを踏まえても差は明らかで、高校の先生からの評価でも多くの教員が「国際化に力を入れている」大学として早稲田を挙げている。

 早稲田の国際化の象徴は、04年に設置された国際教養学部。多くの数の留学生を受け入れ、学部生は1年間の留学が必修になっている。

 国際化は早稲田の女子比率の向上にもつながっている。洗練された慶應のイメージに対して、早稲田のイメージはバンカラ。かつて「ワセジョ」(早稲田女子)も、洗練とは対極の意味で使われていた。しかし現在、女子学生の比率を見てみると、慶應が37%に対して、早稲田が37.5%とほぼ変わらない数字。ワセジョの魅力も高まっているようだ。

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