だが、運も味方した。ロッテは昨オフ、主力の鈴木大地(30)が楽天にフリーエージェント(FA)移籍。内野ならどこでも守れる三木亮(28)も昨年10月に右膝蓋大腿関節軟骨を損傷し、開幕までに間に合うか微妙な状況だ。遊撃のレギュラーを狙う平沢大河(22)も右ひじ痛で出遅れている。内野の選手層が薄いなかで、二塁、遊撃、三塁が守れて実績十分のベテランに白羽の矢が立った。

 鳥谷はプレー面だけでなく、野球に取り組むストイックな姿勢も他の選手たちに良い影響をもたらすだろう。SNS上では、阪神ファンからも祝福のメッセージが多い。

「なかなか移籍先が決まらず心配だったので、鳥谷のプレーが今年も見られるのはうれしい」

「攻守で何度も阪神を救ってきたことに感謝の思いしかない。今年のロッテ戦は甲子園で交流戦があるけど、阪神ファンは鳥谷にブーイングはしないでほしい」

 ロッテで活躍することが、阪神ファンへの恩返しになるだろう。(梅宮昌宗)

週刊朝日  2020年3月27日号