04年度ミス東大の八田亜矢子や、気象予報士の資格を持つ三浦奈保子は、在学中から芸能界デビューし、現在もクイズバラエティーなどで活躍している。

 一方、時流に関係なく東大卒が輩出したのがアナウンサーだ。大ベテランでは土曜夜の長寿クイズ番組の顔、「世界ふしぎ発見!」の草野仁。文学部社会学科を首席で卒業し、86年の放送開始から同番組の司会を務める。最も幅広い世代から名前が挙がるのは、「NEWS23」「報道特集」のキャスターで知られた膳場貴子だろう。ちなみに、3度の結婚のお相手はいずれも東大卒だ。

 11年から「ZIP!」の総合司会でおなじみ、日本テレビの桝太一も大学院農学生命科学研究科修了で、アナゴやアサリの研究をしていた。「好きな男性アナウンサーランキング」では5年連続1位に選ばれ、殿堂入りしている。

 こうしてブランドとして確立されたが、生き馬の目を抜く芸能界。いつまで通用するのだろうか。

 三杉さんはそのブランド価値は下がらないとみる。

「業界内で人数が少ないんですよね。同じように学力で勝負するにしても、早稲田大や慶應大は芸能界にある程度の人数がいます。対して、そもそも東大は国立で定員が少ない上に、その中から、売れずに終わる人のほうが多い不安定な芸能界へ進む人となると、ほんの一握り。ものすごく優秀で、希少価値が高いんですよ」

 小林さんは、起用する側の立場から、東大ブランドの価値を説明する。

ドラマや漫画で『めざせ東大』と設定されるように、東大は簡単には到達できないゴール。そのパブリックイメージは“誰もが一目置くインテリ”でしょうか。あらゆる分野から出題されるクイズ番組においても、正解すれば『やっぱりすごい』と珍獣感が出るし、不正解なら『東大出てるのに間違えちゃうのか』と視聴者が優越感をおぼえる。どちらに転んでもいいわけです」

 クイズ番組で重宝される理由がよくわかる。最後に、三杉さんは、東大についてこう言及した。

「何を食べて育ったのか、合コンには行くのかと、どこかベールに包まれていて興味を集めるのが『東大』ではないでしょうか」

 ベールの中をのぞかせてくれるおもしろさも、東大タレントにはあるのかもしれない。(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2020年3月27日号