3月13日に電話会談したトランプ米大統領と安倍首相 (c)朝日新聞社
3月13日に電話会談したトランプ米大統領と安倍首相 (c)朝日新聞社
ギリシャで聖火を引き継ぐ野口みずきさん。その後、ギリシャ国内での聖火リレーは中止となった (c)朝日新聞社
ギリシャで聖火を引き継ぐ野口みずきさん。その後、ギリシャ国内での聖火リレーは中止となった (c)朝日新聞社

 この先、何が待ち受けているのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大。トランプ米大統領は非常事態を宣言し、今や欧州がパンデミックの中心となっている。日本国内を見ればもはや五輪延期・中止が既定路線。株価は大暴落し、世界恐慌のXデーが近づいている。

【写真】ギリシャで聖火を引き継ぐ野口みずきさん

 東京五輪の延期に向けて、世界が動きだした。

「1年間延期したほうが無観客でやるよりもいい」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、トランプ米大統領は日本時間の3月13日、報道陣にそう発言した。安倍晋三首相とも電話会談。その後、「(日本には)たくさんの選択肢がある」とツイッターに書き込んだ。

 米国は五輪でも大きな影響力を持つ。米テレビ局NBCは五輪開催の決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)に巨額の放映権料を支払う。IOCの最高位スポンサー14社のうち半数は米国に本社を置く。

 IOCのバッハ会長も、12日のドイツ公共放送のインタビューで通常通りの開催を目指すとしつつ、「世界保健機関(WHO)の助言に従う」と述べた。

 WHOは11日に「パンデミック(世界的な大流行)」を宣言。IOCは「大義名分」をほぼ手にしており、感染拡大の推移を見ながら延期・中止に向けて調整していくとみられる。13日には、ギリシャ国内の聖火リレーが中止となった。

 大会組織委員会は、予定通りとの姿勢を崩していない。元電通専務の高橋治之理事は「1、2年の延期も選択肢に」との見解を日米のメディアに明かしたが、森喜朗会長はすぐ否定。安倍首相も14日の会見で、「予定通り開催したい」と述べた。しかし、日本の政界はすでに延期を見越している。自民党の幹部は明かす。

「トランプ大統領が延期と言えば、(予定通りの開催は)無理だろう。IOCはWHOから話があれば、延期はありえると言っていた。日本がいくら言っても五輪はIOCに権限がある。都内の有名ホテルは、海外チェーンの連絡網から五輪はダメだと連絡が来ているそうだ。五輪がなくなれば、最大のイベントは衆院解散だろう。五輪やらないムードで、ますますそういう話が増えると思うよ」

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、永田町の動きをこう語る。

「12日、小池百合子都知事が官邸に入り、安倍さんと面会しています。そして、翌日未明にトランプ大統領が1年延期を言いだしたんですね。一連の動きは全部が仕組まれたセットじゃないかと見ています」

 五輪が延期になると、7月は政治的に空白となる。

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
次のページ