私が国会の承認にこだわるのは、政府にすべて委ねるのではなく、野党議員も賛否を通じて責任を負うべきだと考えるからです。

 もちろん迅速さが求められますから、最初の宣言時は事後承認の余地は残す必要があります。けれども、期間を延長する時は事前の承認ができるはずです。

 この間、総理が政令指定で報道機関への介入ができるか否かの問題が持ち上がりました。11日の衆院法務委員会で私の質問に対し、宮下一郎内閣府副大臣は「民放の放送内容を変更、差し替えてもらうことはあり得る」と答弁しました。

 ところが、13日に西村康稔経済再生担当相が、番組編集の自由を規定した放送法第3条を理由に否定すると、宮下氏は慌てて謝罪・撤回したのです。人権を制限する法案審議に、きちんと答弁する準備すらできていなかったのです。政府がいかに報道の自由、表現の自由というものを軽んじているかの証左です。

 立憲民主党の議員ですから非立憲的な法律に賛成することはできない。これほど私権制限が強い法案なのに、党の執行部は最初から最後まで賛成の姿勢を崩さず、民主的な議論は封殺されました。党の方針と私の意思は最終的に折り合えなかったわけですから、大きな覚悟と自覚を持って反対しました。

(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2020年3月27日号