安倍首相は緊急事態宣言をするための科学的根拠を示すことはできないだろう。いまだにPCR検査が行き届いておらず、感染者の実態把握が困難だからだ。

 2009年の新型インフルエンザ対策を総括する形で、当時の民主党政権は専門家約40人から意見聴取。PCR検査体制の強化などの提言を報告書にまとめた。

 民主党政権時代を「悪夢」と言ってはばからない安倍首相が、こうした蓄積を生かせなかったのは痛恨の極みである。

 元厚生労働相の長妻昭衆院議員(立憲)がこう語る。

「検査体制の充実化と、重症化した人のベッドの確保など、政府はヒト・モノ・カネをかけて早急に対応すべきです。これは政治的な関係抜きで取り組まなければなりません」

 安倍政権がさらに暴走しかねない瀬戸際にある。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2020年3月20日号に加筆