これについてやましたさんは、

「身のまわりにあるモノについて一つ一つ自分との関係を問い直しながら、自分にとって不必要なモノ、ふさわしくないモノ、心地よくないモノをどんどん捨てていきます。捨てるというのは『手放す』こと」

 と話しています。つまり、人間は気づかないうちに様々なものに執着してしまう。その執着を見直して、断捨離しようということなんです。

 年を取ったら、だんだん執着は薄れていくものでしょうか。必ずしもそうではないかもしれないですね。

 執着をどんどん捨てていくと、「人生に必要なものは、じつは驚くほど少ない」と気づくわけです。

 対談の中で最後まで残る人生に必要なものについて話がおよんで、私は「酒と本と女」をあげました。

 私はモノには執着しない方なのですが、毎日の晩酌と本屋めぐりと、気が合った女性とのハグは捨てがたいですね。これは私の人生のときめきに欠かせないものなのです。

 あなたが人生のときめきのために最後まで手放せないものはなんでしょうか。それを見つけるのが、断捨離ではないでしょうか。

週刊朝日  2020年3月13日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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