隅田川をゆく屋形船。スカイツリーやレインボーブリッジをのぞみ、花見も楽しめ、と今昔の情緒にあふれている。しかし、屋形船でタクシー運転手らが開いた新年会をきっかけに新型コロナウイルスの感染が広がった、と伝えられ……。


「あれだけ報道されればね」

 100年以上に渡って屋形船を営む店の主は、憤懣やるかたない。

「4月までの予約が40~50件入っていたんですが、全部キャンセルになってしまいました。5月分までキャンセルになっているものもあります。もう商売になんないです。いつまで持ちこたえられるでしょうか」

 客足は鈍るばかりなのに、アルコール消毒液だけは、かつてない勢いで減っていく。訪日外国人らに人気な寿司店でそう聞いた。いまの世相を象徴する話ではないか。このまま萎縮と自粛が渦巻く中、春本番を迎えるしかないのだろうか。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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