「昨年5月21日、私とBさん、脇容疑者でウグイス嬢の日当について打ち合わせをしました。『日当は河井ルールでいいのか(克行議員に)聞いておきます』とその場で脇容疑者は言いましたが、選挙まで時間もないので、5月22日に夫・克行さんの政策秘書の高谷容疑者に電話しました。案里さんの選挙は実質的に克行氏が仕切っていることはわかっていました。すると『河井ルール、日当3万円で大丈夫です』と答えが返ってきた。Bさんに電話をして『河井ルールになりました』と連絡しました。こうした内容の供述調書を作成しました」

 Bさんもこう証言する。

「Aさんから河井ルールになったと連絡を受けたので日当3万円となったと、他のウグイス嬢にメッセージを送り、やってくれる人を探しました。こうした内容の供述調書にサインしました」

 そして、ダメ押しとなるのが、昨年6月11日にAさんが脇容疑者と打ち合わせた内容だ。

「河井ルールでOKだと、再度、確認がとれたので、そこも供述調書に書かれていると思います」

 だが、Bさんは直前になってウグイス嬢としては仕事をせず、Cさんにバトンタッチしたという。捜査関係者がこう話す。

「Cさんは9人のウグイス嬢のリーダー格なので、そのとりまとめとして立道容疑者と話し合った。その結果、日当3万円と決めたという内容の供述をしている」

 これまで、何度も広島地検で事情を聞かれたAさんやBさん。逮捕されたのは、河井夫妻の秘書だが、Aさんはこう言う。

「検事の口ぶり、供述調書の中身からも明らかに、克行氏を狙っているなと思いました。河井ルールはすべて克行氏の了解がないと、だめです。逮捕された3人は、必ず克行氏の了解をとっていた。脇容疑者が、6月11日まで河井ルール、日当3万円でと伝えてこなかったのは、選挙が近く克行氏とその打ち合わせができなかったからのようです。取り調べた検事は、克行氏のことを最高責任者という表現。供述調書はそう記載されました。今日、逮捕されたのは秘書、選対幹部ですが、明らかに案里氏や克行氏がターゲットだと思えるような供述調書でした」

 ようやく着手となった河井夫妻の公職選挙法違反事件。自民党幹部がこう話す。

「新型コロナウイルス対応で大変なときに、河井夫妻の事件が爆発だよ。案里氏の出馬は安倍政権、首相直轄の案件。さすがに、安倍政権のヤバくなってきた、終わりじゃないかとの声が党内のあちこちから聞かれる」(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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