林:今の女の子たちのセンスは、確かに私の時代なんかよりよくなっていると思いますけど、ファストファッションが全盛で、ZARAとユニクロでとまっちゃうような気がするんです。

原:ただ、そういうところにかなりのレベルのものもあるし、80年代90年代よりは女の人もファッションにお金を使わなくなっていると思う。昔はお給料の数倍のものをたまに買う人もいるみたいな話も聞いたけど、今はそれはしないでしょ。

林:そうなんです。

原:みんな電車の中で下を向いてスマホを見てるし、人が何を着てるかなんてそんなに気にしてないようにも見えます。インスタであげてるようなのは、私、見てないのでわからないですけれど、ファッションのとらえ方がほんとにいろいろで、何が格好良くて何が悪いのかもわからない。自由なことは良いはずなんですが。

林:私は、本が売れた時代がちょうどお金をいちばん使えるときだったからよかったなと思います。この年になってから本が売れなくなっても、まあしょうがないや、と思いますよ。

原:でも、あれだけいっぱい本が出ているから、印税生活できそうって想像してます(笑)。

林:と~んでもない。印税なんかありません。

原:お着物の本も出されていて、「すごい!」と思いながら見てました。身銭を切って着物を買うという経験は、そうじゃない人と絶対違うと思う。

林:このあいだ出た原さんの着物の本(『原由美子のきもの上手』)、私、ベッドの脇に置いて見てます。今いちばん興味があるのは着物ですか。

原:興味というより、着物の仕事に力が入ります。着物のページを作らせていただく機会があるならやりたいですね。着物って安くないですから、誰でも買えるものではないですけど、「フィガロジャポン」で「きもの上手」という連載をやっていたので、それをまとめて、興味のある方に参考にしてほしいと思ったんです。

林:細かい柄の着物に細かい柄の帯を合わせたり、柄と柄の組み合わせ方なんか、ほんとに素敵です。

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