東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
シーズンに向けて順調な調整を続ける西武・松坂大輔 (c)朝日新聞社
シーズンに向けて順調な調整を続ける西武・松坂大輔 (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、松坂大輔投手の体作りについてアドバイスする。

【写真】シーズンに向けて順調な調整を続ける松坂大輔投手

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 西武の松坂大輔投手が順調な調整を進めている。2月18日までで8度ブルペン入り。そして翌19日にはフリー打撃に登板した。源田や外崎といった侍ジャパンにも選出される選手相手に、しっかり投げられたのは収穫だ。これだけ順調に段階を踏めているのは、2015年にソフトバンク入りして日本球界に復帰してから初めてのことだろう。

 中日で6勝を挙げ、カムバック賞を獲得した18年の沖縄・北谷キャンプの時には「まあ今の肩、ひじの状態ではこんなものだろう」と投球フォームを見て感じていたが、今年はその時以上にしっかり下半身が動いている。よほど、肩、ひじの状態が良いのだろう。ここ何年もできなかったことでもある、投げる中で肩やひじに張りを持たせることもできているのではないか。

 ここまでできているのだから、体作りについてもう一歩進んだ注文を出したい。2月7日に南郷キャンプを訪問して大輔本人と話した時に伝えたのだが、左の尻が小さくなっている。右投手にとって左尻は重要な部分。この部分でどれだけ体重移動をしっかりと受け止められるかが、より捕手寄りで球を離せるかに関わってくる。その筋肉は平地でのキャッチボールでは作れない。傾斜のあるマウンドで投げ続ける中でつく筋肉である。

 私も現役時代はキャンプの第1、第2クールで左の尻の張りを作り、そこから一つひとつの投球動作のチェックに入っていた。今まではできなかったことができれば、球威、キレはもっと出る。

 おそらく2月中に練習試合に1試合登板し、3月のオープン戦は1~2試合ではないか。3月はキャンプ地を離れて各地を転戦することになるが、キャンプ地よりも格段に気温は低い。さらに西武のオープン戦日程を見ると、ドーム球場は3月13日から15日のメットライフドームしかない。寒暖差で調整に狂いが生じる可能性があり、本人、そして首脳陣双方で慎重に対応してもらいたい。大輔の経験、投球スタイルからすれば、実際の試合で投げなくても、シート打撃登板などで実戦感覚は養える。柔軟な発想で開幕に向けて状態を上げてほしい。

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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