悩める貴公子にもホッとできる瞬間がある。それはお酒を楽しむ時だという。

「心を許してお酒をたしなめるお店ができたんですよ、たった一軒だけなんですけど。そこでは、素直に喜怒哀楽を見せられるし、仕事の話や相談事もできるんです」

 時にはふらりと一人で出かけていくお目当ては、お店の大将や女将さんとの会話だ。

「客観的な意見を言ってくれるのがありがたいです。仕事関係者ではない人からの意見はとても参考になる。なぜなら僕らの仕事は一般の方々を相手にするお仕事で、仕事関係者とは違う第三者の気持ちがわからないとできません。だからとてもリラックスしてありがたい意見を聞ける場所として、大事にしています。一人でふらっとお酒をたしなみに行ける店ができたっていう点では、少し大人化できているのかもしれませんね(笑)」

 好きなお酒はワイン。行きつけの店にもお気に入りを置いてもらっている。

「ワインは商売がうまい(笑)。オシャレですし、どんな料理にも合うし、タイムカプセルのようなドキドキ感がある。年代があり生産地がある。世界中で飲まれているのもすごい。そんなワインみたいに愛される歌手になりたいですね」

 デビュー20周年を迎える貴公子はいい具合に熟成されているようだ。(文/本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2020年2月28日号