娘のときは、息子たちとはまた一味違った思いがありました。娘は高2の終わりから高3の初めまで体調を崩し、私は一時期、その年の入試は受けるだけになるかもしれないと覚悟までしたからです。体調が悪いながらも少しずつ問題を解いて頑張っていた娘の姿も目に浮かび、その年に受験できたことに心から感謝しました。母娘で「人事」は尽くしたと思います。

 1日目は、受験生が門に入って姿が消えたのを確認したら、私はすぐホテルに帰ることにしていました。観光やショッピングで出歩くこともできますが、やはり何があるかわかりませんので、受験がすんだ子どもたちの帰りをホテルでゆっくり待ちました。

 基本的には神頼みはしない方針の私ですが、受験と合格発表のときは、私の母が入試の合格祈願に行ってくれたときのお札を持ってきて、ホテルの机の上に置くことにしていました。それを見つめていると、「子どもたちをかわいがってくれた両親も見守ってくれている」と思えますから。

 2日目もチェックアウトのために、すぐにホテルに帰ります。受験生が一人で宿泊する場合は、荷物の整理をしてホテルのチェックアウトを済ませたあと、フロントに荷物を預けて、受験会場に行かないといけません。しかも、2日目の朝はチェックアウトの人が列を作っていてかなり時間がかかるので、要注意です。

 大学受験というのは、これから続く人生の初めての大きな区切りになるものです。親元からまず一歩離れるビッグイベントですね。親としても「大きくなったなあ」と感慨深い思いを抱くことになりますね。親が何かを手伝うのも最後になりますから、なんでもしてあげてください。本人も親も納得のいく結果が出るように、頑張ってほしいと思います。(構成/庄村敦子)

週刊朝日  2020年2月28日号