この日の松の姿にもひときわ好感を持ったという。

「アカデミー賞だからといってヘンに盛ったりせず、普段どおりの黒髪ショートカット。まさに『ありのままの』スタイルが、かえって“アジアンビューティー”ぶりを際立たせていました」

 松がアカデミー賞で歌唱を披露した意味合いを、芸能リポーターの石川敏男さんは、こうみる。

「大物歌舞伎役者、松本白鸚の娘である女優が、日本人として初めての取り組みに挑んだ。これは日本をアピールする意味では大きいですよね。世界中が注目するオリンピックに向け、いろんな要素が重なり合い、選ばれるべくして選ばれたのではないでしょうか」

 このパフォーマンスは松の女優としての実績に大きなプラスになる、と石川さんは言う。

「これまでの作品を突き抜けるような代表作の誕生も、期待できるのではないでしょうか」

 さりげない魅力をまとった演技で、近い将来、女優部門でのノミネートも夢ではないのかもしれない。(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2020年2月28日号