「依存症の場合、回復はゴールのないマラソンみたいなものだと言われます。ですが、薬物を使いながら、いつ警察に捕まるかわからない瀬戸際を恐々走るレースより、回復の道のほうがよっぽど楽です。施設や自助グループなど適切な医療とつながることが必要です」

 1度目の逮捕からの復帰後、槇原容疑者は「世界に一つだけの花」など数々の名曲を世に送り出して復活した。再び表舞台に戻ってこられるのか。芸能評論家の三杉武さんは言う。

「世間の目が厳しい今はかなり難しい。槇原さんは薬物事件から復帰した数少ない成功例の一人でしたが、再犯となれば更生していないと見られても仕方ない。俳優などと違い、曲提供など露出を絞れる職種ではあるので、裏方として復帰する可能性はありますが」

 前出の塚本さんは祈る。

「薬物事件の後に再び活躍する姿は、こんな薬物犯罪者の私でも再び社会に戻れるかもしれないと思える希望でもありました。槇原さんの仕事が失われるようなことがありませんように」

 はたしてどちらに転ぶか。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2020年2月28日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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