東京地検の森本宏特捜部長は2017年9月に就任。任期は通常2年以内で、すでに異例の長さに達している。森本氏は就任以来、スーパーゼネコン4社を起訴した「リニア中央新幹線談合事件」、ゴーン事件、そして約10年ぶりの現職国会議員の逮捕となった秋元被告の事件を指揮した。一部のメディアから「東京地検のエース」と持ち上げられるが、郷原弁護士は逆だ。古巣にこう苦言を呈した。

「とにかく、捜査が強引。で、動き出したら止まらない。秋元議員の事件にも疑問な点が多々あり、公判の行方は予断を許さない」

 昨年12月25日に逮捕された秋元被告は、中国企業「500ドットコム」から総額約760万円相当の賄賂を受け取った収賄の罪で起訴された。

 秋元被告は会見で爆弾発言こそしなかったが、「賄賂だなどと考えたこともない」「裏金で300万円をもらわなければならない状況には全くなかった」などと起訴内容を全面否認した。会見を見た郷原弁護士はこう感想を語った。

「秋元議員は、公判を控えているからといって何も話さないのではなく、自分の主張を堂々と記者会見で述べたことは評価できる。公判で言うことは絶対変わらないという確信があったからでしょう」

(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2020年2月28日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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