例えば年収500万円の独身の人なら、約8万円までは2千円の自己負担だけですむため、8万円×30%の2万4千円分の返礼品が実質的にタダでもらえるのだ。「合法的な脱税」とも指摘されるほどお得なため、利用者は増えている。

 寄付先が5カ所以内などの条件を満たすと確定申告しなくてよい、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」もある。6カ所以上に寄付したり、他の控除を受けるために確定申告したりする場合は、ふるさと納税分についても申告が必要になる。自治体の「寄付金受領証明書」はなくさないように整理しておく。

 税金を取り戻す方法は、いろいろあることがわかってもらえただろう。戻ってくる額は一つ当たり数万円かもしれないが、組み合わせれば数十万円になることもある。過去5年分さかのぼって申告できるので10万円以上戻ってくるかもしれないのだ。金額にこだわらず、まずは少しでも取り戻してみよう。そうすれば、税金への関心が高まり、さらなる節税策を検討することができる。

 還付申告や確定申告のポイントをまとめた(下記)。領収書を残すことや専門家への相談など、基本的なことを守れば大丈夫。あなたも税金を取り戻せる。(本誌・池田正史、多田敏男)

■税金を取り戻すためのポイント
・還付申告はいつでもできる
還付申告だけなら1月からできる。前年の控除分について税務署に出す。確定申告は毎年2~3月の期間内にすませる

・納税額が少なくてもやってみる
もともとの納税額が少ないと控除で戻ってくる額も少ないが、申告は自分の家計を見直すいい機会。控除で所得の区分が下がると、低所得者向けの様々な支援制度が受けやすくなる

・やっていない人こそチャンス
控除は5年分はさかのぼって申告できる。まとめて税金を取り戻せる。なくした領収書や明細書を再発行してくれることもあるので、購入先や医療機関に問い合わせてみよう

・支出の証拠を残しておく
医療費に限らず領収書やレシートは残しておく。証拠さえあれば後から申告書類はつくれる。病院への交通費などは確認できるようにメモしておく

・税務署や税理士に相談する
払いすぎた税金を取り戻すのは当然の権利。必要な書類や手続きは税務署にどんどん聞く。税理士の無料相談会もある

※税理士らへの取材をもとに作成

週刊朝日  2020年2月21日号