住宅や家財の損害額と災害関連支出の合計から保険金や、所得の10分の1を差し引いた額か、災害関連支出から5万円を引いた額のどちらか多いほうとなる。損失額が大きくその年の所得から控除しきれない場合は、3年間まで繰り越せる。

 犯罪被害といっても、詐欺や恐喝は対象にならない。店舗や設備など事業用資産や、1個当たり30万円を超える貴金属などぜいたく品、別荘も対象外。

 申告には住宅や家財の取得日がわかる書類、罹災証明書や被害届を用意する。

 自然災害によって住宅や家財が時価で50%以上の損害を受けると、「災害減免法による所得税の軽減免除」を利用できる。雑損控除と災害減免は、どちらか一方しか選べない。災害減免は所得が500万円以下の場合に所得税全額を払わなくてよい。どちらが得かはケース・バイ・ケースなので税理士らに相談しよう。

 高齢化社会に対応した制度もある。バリアフリーや省エネ、耐震などのリフォームをしたときも税金は戻ってくる。

 例えばバリアフリーリフォームの場合、50歳以上なら、国が決めた標準的な工事費(上限200万円)から補助金などを引いた額の10%分の税金を取り戻せる。自分が所有する家で、21年末までに工事が終わって住み始めることなどが条件だ。税額控除なので所得控除よりも効果が大きく、うまく活用すれば節税対策になる。

 省エネリフォームも、標準的な工事費(上限250万円)から補助金などを引いた額の10%分を税額控除できる。工事費の上限は太陽光発電設備が含まれているときは350万円になる。

 耐震リフォームも工事費の10%が税額控除の対象となり、戻ってくる税金は最高25万円になる。細かな条件もあるので、リフォーム業者らに確認しよう。

 日本は欧米に比べ寄付文化が乏しいと言われてきたが、近年は変わりつつある。国や自治体、政党や公益社団法人、認定NPO法人といった団体に寄付すれば所得控除が受けられる。

 寄付金の合計から2千円を引いた額に、所得税率をかけた分だけ戻ってくる。例えば所得額が300万円の人は税率10%なので、10万円を寄付すると9万8千円×10%分の9800円だ。

 公益社団法人や認定NPO法人など、特定団体への寄付はさらにお得だ。寄付金から2千円を引いた額の40%の所得税が戻ってくる。さらに個人住民税の10%もあるので、寄付金の最大50%分にもなる。例えば10万円を寄付すると、9万8千円×50%の4万9千円が戻ってくることもあるのだ。

 どれが特定の団体に当たるのかは、自治体や内閣府のホームページや団体への問い合わせで確認しよう。

 身近な寄付といえば「ふるさと納税」がある。所得や家族構成などに応じた一定額内なら、寄付金から2千円を引いた全額が戻ってくる。このため2千円の自己負担だけで、寄付金の3割に相当する返礼品をもらうことができる。

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