殺処分寸前の捨て犬が…「セラピードッグ」需要が増加中 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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殺処分寸前の捨て犬が…「セラピードッグ」需要が増加中

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吉川明子週刊朝日#動物
千葉県内にある国際セラピードッグ協会のトレーニングプラザ。犬たちは2年以上かけて訓練される

千葉県内にある国際セラピードッグ協会のトレーニングプラザ。犬たちは2年以上かけて訓練される

(写真左)訓練を終え、信頼関係を築いたハンドラーに褒めてもらい、全身で喜びを表現する犬の「だいだい」/社会福祉法人「シルヴァーウィング」の施設で、福島県内の保健所から救い出された「きずな」と歩く山野井さん(左)

(写真左)訓練を終え、信頼関係を築いたハンドラーに褒めてもらい、全身で喜びを表現する犬の「だいだい」/社会福祉法人「シルヴァーウィング」の施設で、福島県内の保健所から救い出された「きずな」と歩く山野井さん(左)

震災後の山奥で野犬として捕獲された金次(右)と銀次。大木さんが殺処分直前のガス室から救出した (国際セラピードッグ協会提供)

震災後の山奥で野犬として捕獲された金次(右)と銀次。大木さんが殺処分直前のガス室から救出した (国際セラピードッグ協会提供)

 高齢者施設や障害者施設などでの、セラピードッグによる「動物介在療法(AAT)」が全国に広がりを見せている。セラピードッグとの触れ合いを通じて記憶を取り戻したり、動かなくなった手足が動くようになったりと、さまざまな効果を上げている。育成や活躍の現場を紹介する。

【写真】保健所から救い出された犬たちがセラピードッグとして活躍!

*  *  *
 ある平日の昼下がり、社会福祉法人「シルヴァーウィング」(東京都中央区)が運営する施設のホールに集まった入居者やデイサービス利用者は、続々と入場する犬たちの姿を見て、みな笑顔になった。

 犬たちはみな、赤十字が描かれた緑色のベストを着用している。これは、一般財団法人国際セラピードッグ協会(東京)で訓練を受けたセラピードッグの証し。高齢者や障害者、病気を抱える患者などの身体と精神の機能回復を補助する役割を担っている。

 犬たちの紹介が終わると、一人ずつ犬と触れ合う時間となる。ハンドラーは高齢者の前に椅子を置き、そこに犬を座らせる。

「この子はだいだいという名前なんですよ」「名前を呼んでみてください」「なでてみてくださいね」

 ハンドラーは高齢者との会話を弾ませつつ、犬との触れ合いを促していく。訓練された犬は、高齢者が触れても、吠えることはない。

「シルヴァーウィング」がセラピードッグを受け入れたのは16年前のこと。毎月2回訪問する同協会とは、長いつきあいとなっている。

「普段は無口な男性が、セラピードッグを前にすると満面の笑みを浮かべてびっくりすることもあります。日々接しているスタッフでさえ知らない、思いがけない一面が見られるんです」(施設長の関口ゆかりさん)

 デイサービスを利用している山野井裕章さんは、12年前に突然、下半身が動かなくなった。原因不明で再び歩くことは絶望的にも思われたが、セラピードッグと触れ合ううちに、「犬と一緒に歩きたい」という気持ちが芽生えたという。

「はじめは杖があっても数歩も歩けなかったのに、何年もかけて訓練し、今は杖なしで犬と一緒にホール内を6周できるようになりました。リハビリの歩行訓練と違って、犬と歩くのは楽しいから」(山野井さん)

 今でこそ日本各地の医療や福祉の現場でセラピードッグが活躍しているが、元をたどると、1985年に同協会代表でブルースシンガーの大木トオルさんが日本に導入したのが始まりとなる。76年に渡米し、日本人ブルースシンガーとして初の全米ツアーを成功させた大木さん。ある日、知人からの言葉に衝撃を受けた。


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