田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、日産の元会長カルロス・ゴーン氏が批判した日本の司法制度について考える。

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 2月2日放送の「激論!クロスファイア」に、弁護士の郷原信郎氏に出演してもらった(収録は1月30日)。郷原氏が、12月29日に関西空港からレバノンに逃亡した日産の前会長カルロス・ゴーンに、昨年11月から12月にかけて5回、計10時間もインタビューし、重大な事実を聞き出していることを知ったからである。

 郷原氏がゴーンに最後に会ったのは逃亡の2日前の12月27日で、1月13日にもレバノンにいるゴーンと電話で約30分間話をしているのである。

 なぜ、ゴーンにインタビューをしようと思ったのか。何を聞き出したのか。12月27日にゴーンはどんな様子だったのか。まさか逃亡することを告げていた、とは思わないが……。

 それにしても郷原氏は、ゴーンの逃亡をどのように受け止めているのか。だが、そのことを確かめる前に、1月8日にゴーンがレバノンでの記者会見で、日本の検察の捜査、そして司法制度を大批判したことについて問うた。森雅子法相や検察の元高官などは、ゴーンの主張はまったくの誤り、デタラメだと強調した。

「まず、警察の取り調べについて、日本は弁護士の立ち会いを認めていませんが、少なくとも先進国でこんな国はありません。韓国でも弁護士が立ち会っています。この点は、ゴーンの批判は正当です」

 郷原氏はいささかの力みもなく言った。

──日本の取り調べに弁護士が立ち会えないことは知っていましたが、先進国で日本だけなのですか。ならば、なぜ国会議員もマスメディアも批判しないのだろう。それに弁護士からの批判もないのではないですか。

「日本では警察・検察のやることは正しい、ということになっているのですよ。それに弁護士も弱いというか、圧倒的に数が足りないのです」

 そして、郷原氏は「被告が警察の言い分を認めるまで保釈しないのも問題です」とも語った。

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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