ガイドラインの例外規定で保存期間を1年未満にできる文書は、正本・原本が管理されている行政文書の写しや、明白な誤りなどから利用に適さなくなった文書などだ。招待者名簿は該当しないように思えるが、内閣府は次の項目に該当するとして、18年4月から1年未満文書に変更したと強弁している。

「保存期間表において、保存期間を1年未満と設定することが適当なものとして、業務単位で具体的に定められた文書」

 読めば分かるように、これは「その他」の項目といえるようなもの。役人の判断で「適当」かどうか幅広く決めていいのなら、ガイドラインは骨抜きになる。

「公文書等の管理に関する法律施行令」によれば、1年以上保存する文書の「起算日」は、公文書が作成された翌年の4月1日。前年度作成の文書は、少なくとも翌年度1年間は保存されるように定めているのだ。

 招待者名簿については、公文書管理法違反も発覚している。保存期間が1年以上の公文書は「管理簿」に記載し、廃棄した場合は「廃棄簿」に記載しなければならない。

 ところが、11~17年度までの7年間にわたって、管理簿にも廃棄簿にも記載がなかった。内閣府は1月17日付で、歴代の人事課長6人を厳重注意処分にした。森友学園問題のように役人に責任を押しつけた格好だ。

「ルールに基づいて適切に保存・廃棄している」という政府の主張は崩れている。廃棄記録がないのだから、野党の求めに応じて再調査するのが筋だが、政府は拒否し続けている。

 招待者名簿の電子データを廃棄した日について菅官房長官は、「紙の名簿の廃棄時期と同じく昨年5月7日から9日に消去した」(1月27日の衆院予算委員会)と、あいまいな答弁をしている。

 電子媒体の廃棄証拠となるログ(電子的な履歴)を確認すれば、正確な日時が特定できるはずだ。南スーダンに派遣された陸上自衛隊の国連平和維持活動(PKO)部隊の日報問題では、防衛省が廃棄したと説明していた電子データが後から見つかった。野党側は招待者名簿の電子データは復元可能な状態で、調べれば開示できるはずだと見ている。それを政府に認めされる突破口として、ログの確認を繰り返し求めているのだ。

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ログ確認で「国家機睦漏洩」というトンデモ説明