政治利用される新型ウイルス 得するのはだれか (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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政治利用される新型ウイルス 得するのはだれか

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亀井洋志,池田正史,多田敏男週刊朝日
中国などからの到着客をチェックする担当者=2月1日、成田空港 (c)朝日新聞社

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対策本部の会議で発言する安倍晋三首相=1月31日 (c)朝日新聞社

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参院予算委員会で質問する立憲民主党の蓮舫議員=1月29日 (c)朝日新聞社

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中国・武漢市からの帰国者が滞在する国立保健医療科学院=埼玉県和光市、撮影・多田敏男

中国・武漢市からの帰国者が滞在する国立保健医療科学院=埼玉県和光市、撮影・多田敏男

 独立した組織としては、世界的に信頼されている米疾病対策センター(CDC)がある。岩田教授は日本にもCDCのような組織をつくるべきだという。

「欧州や中国、韓国などでも同じような組織ができましたが、いまだに日本にはありません。私たち専門家は日本にもつくるべきだと提案していますが、実現していません。日本では感染症の騒ぎがあっても、過ぎ去れば改善のための議論がなされにくい。日本の感染症対策は、厚労省の結核感染症課を中心にやっています。2~3年で異動する官僚が役人の目線でリーダーシップを取ろうとするので、全部抱え込もうとしてしまいます。感染症のプロは長い経験を積まなければいけないのに、そういう蓄積が厚労省にはほとんどありません。ノウハウが養われず、やっつけ仕事を続けているようなものです。厚労省と国立感染症研究所がバラバラに仕事をしていて、なぜ統一しないのかも明確ではありません」

 新型コロナウイルスを巡っては、「感染者が逃げた」といった不安をあおるデマや、差別的な発言がネットなどであふれた。中国・武漢市からチャーター機で帰国した人を過度に恐れる意見もある。帰国者は民間のホテルや行政の宿泊施設に事実上隔離されている。

「中国からの帰国者は怖いといったことを平気で言う人もいます。それを政策決定に影響させてしまってはならない。検疫や隔離をどこまでやるのかは、常に感染のリスクと人権・人道とのせめぎ合いです。どのへんで落としどころを見つけるかという話なので、百点満点の正解があるわけではありません。今回政府はきちんと対処していると思いますが、それで良かったと終わりにするのではなく、恒常的にうまく対処できる機能をつくらなければならないのです」(岩田教授)

 感染症や旅行医学に詳しいナビタスクリニック理事長の久住英二医師も、行政には取り組むべき課題が多いという。

「いまは武漢からの帰国者らしかウイルス検査は受けられません。誰もが検査できるようにすべきだし、有望な治療法が開発されたらすぐに使えるようにしてほしい。役所の人たちは医師免許を持っていても現場を知らない。パニックを防ぐには適切な情報開示と検査体制の整備が必要です。不安な人に不安になるなと言っても仕方がありません。お金がかかっても希望者は検査が受けられるようにしたらいい。ただし、中国では検査キットが足りておらず、いま日本で大規模な検査をしようとすれば国際的に批判されるでしょう。誰もが検査を受けられる体制づくりをしたうえで、症状が軽い人や放っておいても治る人は受ける必要がないことを周知する。肺炎の症状が出ている人らに限ってすすめるようにすれば、検査数は抑えられます」

 久住医師は、行政はパニックにならないための政策を怠ってきたと述べる。

「2009年に新型インフルエンザが流行したときに様々な問題点を把握していたはずなのに、冷静に対処するための政策をこれまで整備してきませんでした。これは怠慢でしょう」


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