新型コロナウイルスの危険性がはっきりしないことや、不安をあおるデマもあって市民は戸惑っている。マスクの買い占めや、感染者への過度の警戒も見られた。普段は団体客でにぎわう都内の浅草や銀座などでは中国人観光客が減り、歩いている人もマスク姿の人が目立った。

 都内の薬局や日用品店ではマスクが多くの店で売り切れた。「次回の入荷は未定です」といった貼り紙を出す店も。在庫がある店でも、1人あたりの購入量に制限をもうけるところがあった。

 ドラッグストアチェーンの「くすりの福太郎」では、マスクが品不足になっているという。

「東京の渋谷や銀座などを中心に品切れが相次いでいます。中国などの外国人客が5~6箱ずつまとめ買いをしていました。品薄状態がいつまで続くかわかりません」(広報担当者)

 大手日用品メーカーのユニ・チャームは増産して対応しようとしている。

「マスクの注文が増えだしたのは1月16日前後から。『超立体マスク』など全般的に急増し、注文量は例年の2~3倍となっています。国内工場で24時間体制で増産している。顧客の手元に届けることが最優先です」(広報担当者)

 ネット通販でも売り切れが相次ぎ、一部で値段が高騰している。不安に乗じて値段をつり上げているようなケースもみられる。慌てて買おうとすると品不足が激しくなる。いずれ増産された商品が出回るので、入荷があるまで待とう。

 ネット上では、「武漢市からの観光客が検査前に空港から逃げた」などといったうその情報が流れた。今夏の東京五輪・パラリンピックが中止になるという臆測も拡散している。

 加藤勝信・厚生労働相は1月31日の参院予算委員会でこう認めた。

「ウェブ上でデマも飛び交っているので、適切な情報を提供していかなければならない。コールセンターを立ち上げたが初動が少なく、急きょ拡大している」

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騒ぎすぎてパニックになる恐れも