もし指を目で追えない、会話についていけない、よく人にぶつかる、という人は要注意。

「寝つけない、落ち込みやすいのも脳振盪の影響かもしれません。自覚症状がある人は一度病院に相談しましょう」(前出・川村医師)

 他方、アルツハイマーの進行度を評価する血液検査など、医学の進歩も見逃せない。

「画像診断の技術は今後発展し、CTEとスポーツの関係性もはっきりしてくるでしょう。今年の東京五輪も含め、国全体でスポーツの安全面にきちんと向き合うことは、日本の高い文化レベルを示すことにつながります」(同)

 大きな感動があっても、競技生活が原因で、選手がその後、脳疾患を抱えるような事態になることは避けなければならない。(桜井恒二)

週刊朝日  2020年2月7日号