和田さんは言う。

「ケアプランはケアマネ任せにするのではなく、家族も作成に参加することが大切だ」

 一方、施設で受ける介護サービスを活用するには、なるべく早くから検討しておくことが重要になる。親の状態が悪くなってから施設を選ぼうとしても、時間や費用の関係で選択肢が狭まってしまう可能性もある。

 施設は公共型、民間型でさまざまな種類がある。要支援や要介護などの入居対象や介護サービスの特徴、認知症への対応、終(つい)のすみかとして利用できるかどうかなどを確認し、利用者に合った施設サービスを選ぶ。

 公共型の特別養護老人ホーム(特養)は、24時間体制で介護が受けられるうえ、費用が比較的安いが、特養を希望する待機者は多く、すぐの入居が難しい。事前に申し込む人もいるという。将来の住まいについて、あらかじめ親と話し合っておくことが大切だ。

 また、民間型の介護付き有料老人ホームや、自宅と同じように過ごせるサービス付き高齢者向け住宅も人気が高まっているという。

 ただ、せっかく高いお金を払って入居しても、要介護度が高くなり、施設のサービス提供体制に合わず、転居しなければならなくなる場合もある。さらに、最近は競争が激化しているため、同じカテゴリーの施設であっても入居者の満足度に大きな違いが出ることもある。施設の詳細をチェックし、契約の前には見学することも必要だ。

 和田さんはこう話す。

「介護サービスを選ぶとき、最も大事なことは『利用者自身がどうありたいか』を基準にすることだ」

 一方、散歩や趣味のための外出介助といった介護保険外サービスも種類が増えている。福島県のふくしぇるは結婚式や墓参り、旅行先での介助や雪かき、療養食メニューの考案などのサービスを地元で提供。要介護認定にかかわらず、身障者などにもサービスを提供しており、全国の福祉関係者らから注目を集めている。

 ケアマネや社会福祉士の仕事をしていた小林さんが起業した。

「見守りや安否確認、ペットのエサやりや散歩など、当たり前にできた生活を、年をとっても続けることができると好評だ。要介護になると、我慢したり、あきらめたりしてしまいがちだが、周りが互いの希望や意向を話しやすい環境づくりが大切になる」(小林さん)

(本誌・小島清利)

週刊朝日  2020年2月7日号