度重なる改正で利用者負担が増えただけではない。介護サービスを担うヘルパーの人材不足が深刻化しているのも、改正が影響していると参加者は口を揃える。なぜなら介護報酬が一向に上がらないためだ。

 ジャーナリストの大由紀子さんは、

「海外ではヘルパーの給料が勤務医の8割のところがある。しかし、日本は2割でしかない」

 と指摘し、京都のヘルパー連絡会は「生活が苦しいからレジ打ちをする」といって辞めていったヘルパーを大勢見ていると話した。

 また、NPO法人ソーシャルケア清和会理事長の辻本きく夫さんは、

「生活援助をあたかも家事代行のようにいう審議会の委員も多い。訪問介護のヘルパーは高齢者を支えているという強い自負を持って仕事をしている。法改正のたびに仕事の価値を否定され、現場では失望感が走った」

 と現場の声を伝える。実際、時間が足りない中、無報酬で家事援助を続けざるを得ないケースも出ている。「訪問介護のヘルパーは、利用者さんの家に訪問して、生活史を知り、状態の悪化や病状の把握など、いろいろ気づきの視点を持って仕事をしている。そのやりがいが(生活援助の切り捨てによって)奪われている」(京都のヘルパー連絡会)

 報酬は増えず、やりがいは失われる。それでは介護職員が増えるわけはない。実際、東京都のヘルパーの有効求人倍率は13倍、一般的な介護職員は8倍。人材が足りないため、多くの訪問介護事業所では新しい仕事を受けられない状況が続く。先の辻本さんは、

「求人広告を出しても電話も鳴らない。しかも、介護職の多くは60、70代」

 と、窮状を訴える。

 今回の集会で多くの人がもっとも問題視していたのが、「総合事業」だ。

 総合事業とは、

「市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの」

 だと厚労省は説明している。

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