転機は24歳のときに訪れる。「ある事務所のスタッフさんに『最近、なんか映画観ました?』って聞いたら『映画観てるほど暇じゃねえんだ!』って言われた。そのとき『自分は映画から最も遠い世界にいる』と、気付いたんです。いったん全部リセットしようと、事務所やレッスンを全部やめて、レンタルビデオや映画館で日本映画を観まくりました。いま活躍している監督は誰だろうって」

 好きな作品を撮った監督の事務所に、自らプロフィルを持ち込んだ。黒沢清監督、山本政志監督、伊丹十三監督、市川準監督……

「好きで好きでしょうがなくなった監督のところに命がけで行くんですから、万が一会えようものなら、機関銃のように映画を本気で褒めまくりました。『あのシーンのここが好きです』『あの言葉は、あそこの伏線になってるんですね!』と話すと『本当にちゃんと観ているんだな』と喜んでくれた」

 北野武監督との出会いはよく知られている。

「お笑いスターでもある北野監督とはなかなか接触できなくて、いろいろ知恵を絞って、ある録音スタジオの喫茶店でボーイとして働いたんです。来店した監督をトイレまで追いかけて、プロフィルを渡して、『監督の映画に出たいんです!』としゃべりまくりました」

 熱意は通じて「ソナチネ」に出演を果たし、道は開けた。

「北野監督に拾っていただいたおかげで、いまの自分があります」

 いまも1週間のほとんどを仕事に費やす。趣味もない。

「役者という仕事をなくしたら、もう自分にはなにもない。役者をやめたら、もう地獄のような人生しか残っていないんですから。上京してから、ずっとそうだった。役者として仕事がないことよりもバイトしているときのほうがよっぽどつらかった。バイト先では怒られてばっかりでしたから(笑)」

 デビューから四半世紀余り。50代半ばに差し掛かっている。

「自分が唯一、褒められることといったら、芝居やってるときぐらいなんです。みんなの前で演技して『お、津田のいまの、よかったよ』とか。ずっとそんな世界に逃げていて、気がついたらなんとかそれで生活できるようになっていた。もう役者としてしか生きていけません」

(中村千晶)

■THIS WEEK
1月7日(火)
京都で夜から旅番組のスタッフ、キャストと食事会。
1月8日(水)
旅番組でロケ(京都)。
1月9日(木)
滋賀県に移動し旅番組ロケ。夜、大阪でMBSラジオに出演。次の日のために岡山県に移動。
1月10日(金)
朝からラジオに生出演後、あかいわ広報大使の委嘱状交付式に参加、今年も広報大使を務めさせて頂きます。その後、赤磐市の中学生と犯罪防止イベントにも参加。夜、京都に移動。
1月11日(土)
KBS京都「キモイリ!」に生出演。その後、東京に移動。
1月12日(日)
湾岸スタジオでCX「痛快TVスカッとジャパン」収録。
1月13日(月・祝)
オフ(カラオケボックスで台本読み)。「1週間、ほとんど家に帰れないことも多いですね。奥さんと息子と娘の4人家族ですが、家族は僕がいるかいないかもよくわからないんじゃないかな」

週刊朝日  2020年2月7日号