中井:役者って変な商売です。これで「飯を食っていく」のに、それが二の次になる時があるんです。2作目の話が来た時に一番最初にマネジャーに言ったのは、「2を作るなら、撮影日数と役者のギャラは変えないでやることが条件」ってことでした。続編を作るなら、役者としては「ギャラを倍もらいたい、3倍もらいたい」って言わなければいけないところなんですが、お客様に楽しんでもらう作品を作ってもらうためには、どこかを犠牲にしないと楽しんでもらえないことがある気がするんです。だから、変な商売ですよ。夢では食べていけませんが、夢を作るということに関しては、ちょっと頭がおかしくなってくるんでしょうかね(笑)。

佐々木:僕だけでもギャラ2倍って言うとけばよかった(笑)。でも、前回の良さはギリギリでやっていた良さだったから、それは踏襲したほうがいいなというのは、貴一さんと全く同意見でした。この作品は、「派手にしたから面白くなったり良くなったりするわけでもないやろなぁ」と思っていましたから。

――そんな続編では新たに広末涼子さん演じるマドンナ、志野が登場。「父の形見をだまし取られた」と言う京美人を巡って、骨董コンビの間で、なにやら恋の火花が散ることに。

中井:マドンナが出るなんて考えていませんでしたから、広末さんが出ると知った時には「そんなに豪華にして大丈夫?」と思いましたよ(笑)。則夫は店にやってきた広末さん演じる着物美人にほれるんですが、その最初のシーンで、「こんなきれいな人はそうそう町にはいないだろうな」って思いました(笑)。そりゃ絶対にほれるというか、下心はどんなヤツでも湧くだろうね。

佐々木:そうですね(笑)。(最初の広末さんとのシーンで)僕のセリフに「心を込めて焼かせていただきました」というセリフがあるんですが、「こころを こめて やかせて いただきました」と、めちゃくちゃ長い芝居を作っているんです。それくらいの衝撃やったんやろな。だって、僕はそんな演技プランを立てていなかったんですから。だけど、現場で涼子ちゃんを見た時に「これやったろ」と思ったんですね。「きれいな着物姿の色の白い人が来はったわぁ」と。

中井:男子のおぞましさ(笑)、女子の力ですね。

広末:ありがとうございます(笑)。私は前作を拝見してすごく楽しかったので、パート2のお話をいただいた時はとてもうれしかったです。

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(構成/ライター・坂口さゆり)

週刊朝日  2020年2月7日号より抜粋