そこで総務省は、「法律」でルールを定め、19年6月からスタートした。

 主な内容は、

(1)返礼品の割合は寄付額に対して3割以下
(2)返礼品はその地域の地場産品に限る
(3)年度全体の経費は寄付額の5割以下

(1)と(2)は、前述した本来の趣旨に近づけるためのルール化。そして(3)は経費についての決まりだ。

 総務省の調査によると、18年度の全国の寄付総額5127億円のうち、2820億円(55%)を経費が占めた。法律改正で経費を5割としたのは、「寄付額の半分は地域に入るようにしたい」(総務省)との考えからだ。

 自治体が寄付を受け、返礼品を送るまでには、返礼品の調達や送付、広告、決済、事務……などの経費がかかる。自治体は、それらすべての業務をふるさと納税サイトを運営する業者に委託したり、一部を任せて残りを自治体が行ったりしている。どこまでを業者に任せるかは、それぞれの自治体が判断して決めている。

 現在、ふるさと納税サイトの運営業者がどれくらいあるかご存じだろうか?

 本誌が確認しただけでも、通信会社やカード会社、鉄道会社など少なくとも20社ある。

 業者と契約している自治体は、サイトへの掲載手数料を支払っている。手数料の割合は、それぞれの業者が決めているといい、サイトによってばらつきがある。

 本誌は、サイトを運営する大手4業者の手数料の割合一覧を入手した。

 それによると、A社は「全体平均で2~3%」、B社は「8~12%」、C社は「10~12%」、D社は「一律12%」となっている。

 あるサイトの関係者はこう話す。

「手数料のほか、返礼品の調達コストなども業者によって違う。そのため、同じ返礼品でも寄付額に差が出てくると考えられる」

 例を挙げてみよう。

 寄付額3万円の返礼品ならば、自治体が経費にかけられる上限は1万5千円となる。

 A社経由:サイト利用料・返礼品の調達費・送料で1万2千円
 B社経由:サイト利用料・返礼品の調達費・送料で1万5千円
 C社経由:サイト利用料・返礼品の調達費・送料で1万8千円

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