では、海自が独自に収集した情報を米軍側に提供できる法的根拠は何か。防衛省の担当者は、野党合同ヒアリングでこう回答している。

「今般の情報収集活動で得られた情報は必要に応じ、米軍にも提供するが、これは情報収集活動の一環として行うものであり、その法的根拠は、情報収集活動と同様、防衛省設置法第4条1項第18号の『所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと』になります」

 派遣の根拠と同じ「調査・研究」というが、このような法解釈が通用するのだろうか。

「防衛省設置法というのは本来、防衛省という組織を作るために必要な事務を定めた法律です。自衛隊の任務、行動、武器使用とは何のかかわりもありません。それを援用して、自衛隊の部隊を動かすなんて、どう考えても筋違いです」(前田氏)

 防衛省設置法は、第5条で自衛隊についてこう規定している。
<自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる>

 海自の職務権限については、自衛隊法を根拠にしていなければ不合理だ。今回、国会での議論を経て、特別措置法を作る手続きも踏んでいない。こんな弥縫策で、自衛隊を海外に派遣することなど容認されていいわけがない。

 国際政治学者で流通経済大学法学部の植村秀樹教授は、政府の姿勢を批判する。

「自衛隊の海外派遣はなし崩し的に進められてきました。海賊対処は09年に最初の部隊が派遣されてから10年以上が経過し、いまでは護衛艦を送ることが当たり前のようになっています。今回も“最初に派遣ありき”でした。どんどん既成事実化して、国民もメディアも慣らされてしまっています。このまま本当に危険な水域へと入り込んでしまっても、もはや後戻りできません」

 米軍が武装勢力と小競り合いから、偶発的に戦闘状態になることは最初から想定しておかなければならない事態だ。イラン側の反発は必至で、戦局は一気に拡大しかねない。「自衛隊は紛争に巻き込まれない」というのは何の根拠もない願望であり、幻想でしかない。

 2月2日、第2陣として護衛艦たかなみは海自横須賀基地を出港する。

(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日オンライン限定記事