そのほか男子の丹羽は戸上隼輔に、女子では伊藤と石川が優勝した早田ひなに敗れた。張本ら五輪代表に共通するのは、対戦相手の積極的なプレーに後手に回ったこと。

「それぞれの相手が予想以上に素晴らしいプレーをしたのはもちろんですが、失うものがなく立ち向かってくる相手は強さを発揮します。つまり、気負いのないリラックス状態だったわけです」(伊藤さん)

 これは裏を返せば、五輪代表らがその境地に至れば金メダルの可能性が十分あるということでもある。

「日本の実力を考えると、中国、韓国、ドイツ、台湾などライバルは多い。中でも中国の壁はとんでもなく高い。練習では勝利への執念が重要ですが、試合になったら『負けてもともと』と思うこと、それを許容する考え方が必要です」

 五輪イヤー初戦のほろ苦い結果は、本番への良薬となるか。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2020年2月7日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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