「辞退することで会社から損害賠償を請求されるのではと心配される学生が多い。弁護士を通してよかったという利用者は多いです」

 内定の辞退には直接、会社に赴いて本人から人事担当者に伝えるべきだ、という意見もあるが、

「代理人なので、法的には本人と同じ。考え方によっては、悩んだ末に、お金を払って代理人をお願いすることは誠意がある。私どもも『ご迷惑をおかけしています』と丁寧に対応します。最終的には企業の方も仕方がないと受け入れてくださいます」(吉田弁護士)

 手軽だし、面倒を避けることができる。就活生から透けて見えるそんな姿勢に、記者はふと心もとなさをおぼえた。このさき働き始めたら、誠意をもって相対しながら乗り越えなくてはならない困難が必ず出てくる。自分の弱さと向き合って、成長してほしいところだ。

(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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