永代供養だと、寺や地域によって異なるが、数十万円の供養料を最初に支払う。年会費等の継続費用は基本的に発生しない。

 実家の墓を「改葬」する場合は費用が膨らむ。異なる市区町村へ遺骨を動かす場合に役所の「改葬許可証」が必要なのはもちろんだが、何より今の墓を管理する寺の了解を得なければならない。

「墓を移すことにより檀家でなくなる際に墓を移す『離檀料』として、法外な金額を請求してくる僧侶が一部にいることが問題になっています。目安として50万円を超えればちょっと高い、吹っかけられているかもと思ってもいい。改葬する場合は、最初に現在のお寺の住職に事情を丁寧に話して、離檀料や墓石撤去代などの総費用をその段階で聞いておいたほうがいいでしょう。離檀料はお気持ちで、と言われたら、5万~10万円程度が妥当なところでしょう」(同)

 実はこうした改葬の際も、永代供養墓は活用できるという。

「今のお寺に永代供養墓があれば、そちらに移すのです。個人墓はなくなりますが、ご遺骨の管理や供養はお寺がしてくれますし、関係も維持できます」(同)

 もちろん、僧侶や寺とは付き合わず、墓もいらないという選択もOKだ。樹木葬や散骨など弔い方は多様になっている。今では遺骨の一部を小型の人工衛星で打ち上げる「宇宙葬」まであるそうだ。

 高橋住職は、散骨する場合も一部を残しておくことを勧める。

「後でしまったと思わないようにしておきたい。一部でもあれば手元供養がいつでもできます」

 やはり故人を思う「心」が大切なのだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2020年1月31日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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