でも「いい応対=自信がある応対」とはわかっても、一朝一夕で自信をつけることは難しい。10年以上コールセンターで働いた今でさえ、私は自分に自信があるかといわれると微妙なところだ。

 けれどコールセンターで働くだけなら、自信は本当に持ってなくてもいいのだ。幸いコールセンターは音声だけでのやり取りだし、お客様は一期一会の方ばかり。だから、どうすれば自信があるように聞こえるのか、その技法だけを知っていればいい。私はそう考えて、どうすれば自信がありそうに聞こえるのかということを、加えて研究していった。

 それをいくつか紹介していきたい。

 まず、低い声でゆっくりしゃべる。高い声や、早口でしゃべると自信がありそうには聞こえない。電話口というのはついつい早口で声が高くなりがちだが、そこを意識して低くゆっくりしゃべる。

 そして、絶対に言い切る。わからないことはわからないと言い、調べてからまだ電話をする。電話口で慌ててしまうのは自分が知らないことを聞かれた時や、相手に「それでいいんだな!?」と詰め寄られる場合だ。言い切れることは言い切ること、そして自信がないことやわからないことがあれば「今は回答できないので確認してから連絡する」と電話を置く。

 もちろん悪意のあるお客様の場合「そんなこともわからないのか、今答えろ!」と言ってくることが多いが、それに絶対に乗ってはいけない。

「不確かなことは言えないので、確認してからお答えします」と折り返すのだ。

 そして、ダメならダメだ、でも何とかなる。ということを知っておく。私はお客様に怒られてばかりの頃「失敗してはダメだ」と思っていた。だから突っ込まれるとパニックになり、しどろもどろになって相手に攻撃される隙を与えてしまっていた。

 自信のあるオペレータさんたちは、窮地でも「自分はなんとかなる、大丈夫だ」と思える人々だった。死ぬほどつらい修羅場を経験し、それを乗り越えた人は実感を持ってそれを知っている。

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無理難題への対応は?