海上からの非対称戦が弱点というわけだが、近年、脅威となっているドローン攻撃は排除できるのだろうか。

 「戦傷医療」に詳しい元陸上自衛隊衛生官の照井資規氏はこう語る。

「18年に近接防御システム(CIWS)を改修して、ドローンに対応できるようにしています。自動制御された機関砲でドローンはすべて撃ち落とせることになっていますが、もちろん完全ではありません。1発でも攻撃を受けたら、何十人というケガ人が出る恐れがあります。また日本の民間船舶が攻撃される可能性もあります。しかし、アデン湾の海賊対処活動では船団の前後を護衛する護衛艦2隻に対し、医官(医師)は1人しか乗っていませんでした。今回の派遣も護衛艦に医官1人じゃないでしょうか。もしもの時に、これでは対処できません」

 03年のイラク戦争の際は、周辺事態法で自衛隊が活動できる地域として定められた「非戦闘地域」について、当時の小泉純一郎首相が「自衛隊のいるところが非戦闘地域」などと発言し、国会が紛糾した。それでも国会審議を経て、特別措置法をつくったうえで派遣している。

 中東情勢は一歩まちがえれば戦争に突入しかねないほど、緊迫の度合いを高めている。そこへ政府は閣議決定だけで自衛隊を送り込んだ。不測の事態が起きた時、自衛隊は真の危機にさらされることになる。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2020年1月31日号に加筆